2021: Maestro Myung-Whun Chung and Tokyo Phil -- Mahler's "Resurrection" and Brahms' Symphonies

マエストロ チョン・ミョンフンと東京フィルの2021年
~マーラー『復活』とブラームスの交響曲チクルス

海外からの渡航制限により、東京フィル名誉音楽監督チョン・ミョンフンの来日が叶わず公演中止となった2月定期演奏会(マーラー:交響曲第2番『復活』)と、7月・9月定期演奏会にて予定されているブラームスの交響曲チクルスに関する動画を公開いたします。
2017年定期の『復活』の記録映像、2009年定期のブラームスの記録録音の一部をご覧いただけます。
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東京フィルハーモニー交響楽団と20年以上深い絆で結ばれている指揮者、マエストロ チョン・ミョンフン。
2001年、マエストロ・チョンは東京フィルのスペシャル・アーティスティック・アドヴァイザー就任の際、「共に音楽を掘り起こそう」というメッセージを込めて、オーケストラにスコップを贈りました。

マーラーの交響曲第2番『復活』。
マエストロと東京フィルの歩みは、この曲から始まりました。

[映像データ]
◆マーラー:交響曲第2番『復活』
第895回サントリー定期シリーズ 2017年9月15日 サントリーホール
チョン・ミョンフン(指揮)
安井陽子(ソプラノ) 山下牧子(メゾ・ソプラノ) 新国立劇場合唱団
東京フィルハーモニー交響楽団

2001年以降、東京フィルはマエストロ・チョンと共に音楽を掘り下げ、鍛錬を重ねました。このコンビネーションは数々の名演を生み、日本の音楽シーンをリードしてまいりました。
しかし、2020年3月以降、新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックにより、東京のコンサートは壊滅的状況となりました。東京フィルも多くの公演が中止となり、私たち音楽家の使命である「演奏活動」を停止せざるをえませんでした。

東京フィルは自主運営のオーケストラ(*注)です。演奏料収入とチケット販売の減収は団体存続の危機に直結します。それは、オーケストラの“死”を意味するといえます。
(*国や地方自治体、放送局や企業に属さず、その財源のほとんどを演奏料収入と寄附支援によって活動するオーケストラ)

2020年6月、東京フィルは感染拡大防止策に万全を期して、東京で最も早くコンサートを再開しました。
そして9月に、「新しい景色をみたい」というテーマのもと8プログラム21公演からなる2021シーズン定期演奏会(1月~11月)を発表。ポストを持つ4人の指揮者とともに、音楽ファンにオーケストラの魅力を存分に楽しんでいただく作品を選曲しました。
私たちは名誉音楽監督チョン・ミョンフンとのマーラー『復活』を計画しました。命を、暮らしを、芸術を取り戻す決意を、「よみがえる」と歌い上げるこの楽曲に託して世界に発信するために。

ソリストと合唱を伴うこの大規模な作品を上演するため、東京フィルは、合唱の検証を行うなど開催準備を始めました。
しかし、2021年1月7日、二度目の緊急事態宣言の発出とさらなる延期により、外国人の入国が困難になり、マエストロ・チョンの2月来日の可能性は断たれました。
東京フィルは、マエストロ・チョンとの『復活』上演を誓い、代役を立てずに公演中止を決定しました。

2021年7月と9月、マエストロ・チョンと東京フィルは、ブラームスの交響曲チクルスを開催します。

[録音データ]
◆ブラームス:交響曲第1番、第2番
第775回サントリー定期シリーズ 2009年7月24日 サントリーホール
◆ブラームス:交響曲第3番、第4番
第49回東京オペラシティ定期シリーズ 2009年11月10日 東京オペラシティ コンサートホール
チョン・ミョンフン(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団

2月、マエストロ・チョンより、日本の音楽ファンと楽団員に直筆のメッセージが届きました。

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日本の「家族」の皆様へ

前回の来日から丸一年が経ち、皆さんにとても会いたく思っています。東京フィルハーモニーのメンバーは私にとって日本の家族だとよく言ってきました。2021年は東京フィルと親しくお付き合いして20周年の年であり、今では実に多くのコンサートに来てくださったお客様方も、この家族の一員だと思っています。
昨年、世界は大きな苦しみに見舞われましたが、素晴らしいものは大きな苦しみから生まれると、私は固く信じています。東京フィル、そして日本中の人々は、この苦しみを乗り越えて、より強く、よりよくなっていかれることでしょう。
近いうちに皆様と再会し、音楽への愛を分かち合う事を楽しみにしています。

愛をこめて

2021年2月
チョン・ミョンフン
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私たちは、ブラームスの交響曲チクルスを経て、近い未来に、マーラー『復活』上演の機会があることを心から願っています。

Sterben werd' ich, um zu leben!
Aufersteh'n, ja aufersteh'n wirst du,

私は 生きるために死ぬ
そう おまえは甦るのだ

~ マーラー:交響曲第2番『復活』より
※歌詞対訳:広瀬大介(2017年7月定期演奏会プログラム掲載)


写真:©K. Miura(スコップ、感染症対策)、©Masahiko Terashi(合唱検証)、©Takafumi Ueno(ステージ)

映像制作:東京フィルハーモニー交響楽団

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